都立進学重点指導校 都立日比谷高校について
2011年度の日比谷高校入試は過去最高の大激戦となった。また、開成高校、筑波大附属駒場高校、東京学芸大附属高校、筑波大附属高校の合格辞退組が大きく増え、日比谷・西・国立高校へ進学する受験生が相次いだ。背景には日比谷高校が、学芸大附属高校を抜いたことや、高校入試経由の生徒の大学合格実績がトップとなったこと、中高一貫校の途中入学への敬遠などがあるようだ。
都立日比谷高校の魅力
- 都立日比谷高校は日本を代表する名門校である。
- 都立日比谷高校は、夏目漱石、小林秀雄、横山大観、谷崎潤一郎、利根川進ら膨大な数の著名人を輩出している。
- 立地が良い。目の前が国会議事堂。通学に便利。
- 都立日比谷高校には、自主自立の精神が深く根付いており、自由闊達な学生生活を送っている。
- 都立日比谷高校の教員は公募で集められた都内トップクラス。
- 都立日比谷高校は、スーパーサイエンスハイスクールに指定され、理数に強み。
- 都立日比谷高校では、大学受験対策が非常に充実しており、予備校化と呼ぶ先生方もいる。それを嫌う生徒は西高校、国立高校を選ぶがどちらにしても個人の好みとなる。
- 都立日比谷高校の雰囲気は西高校、国立高校と同じく、生徒の自治に任せている。
都立日比谷高校の受験を考える
【都立日比谷高校受験者平均 - 平成23年度】
男女 国語65 数学54 英語57 計176
年度によって問題の難易度はかなり違うものの、都立日比谷高校の入試問題は、全般的に早慶の入試問題と同程度と考えられる。
高得点を取るためにたゆまぬ努力をすることはもちろん必要だが、目標点を設定してもなかなか実現するのは難しい。
そこでもっと実現性のある点数の積み上げはないかと考えると…
まず内申を上げるのが一番手っ取り早い。内申1点が当日点6点分に相当するのだから、難しい数学で一問解いたのと同じになる。
次は理社で、これは一般の都立入試と同じ問題なのでやるだけ確実に点数を積み上げることが出来る、90点を切ったならば合格は危ないと考えるべき。
【都立日比谷高校合格には、最終的に何点必要か。】
3科平均点176に理社180を足して、356点
356×1.4=498
内申45で265点
498+265=763点
都立日比谷高校の合格ラインは780点ぐらいが勝負所か。
西高校、国立高校でも検討したように毎年英数国の試験の難易度によって合格最低点も大幅に推移することが考えられるが、後述の「都立日比谷高校受験に対する矢島塾の取り組み」でも紹介するように、より安定した点数の積み上げが考えられるように検討していこう。
都立日比谷高校受験に対する矢島塾の取り組み
都立日比谷高校の自校作成問題に関して、まずすべての大問を解こうとするのは大変ストレスのかかることである。また受験勉強が楽しくなくなる。成功の最大のポイントは各教科に対して興味を持って楽しく勉強することではないだろうか。
ここは見方を変えて、「数学では最初の計算問題を確実に解くこと」を目標にしよう。都立日比谷高校では、毎年各5点配点の計算問題が5問出るので、ここを確実に解いて25点を獲得しよう。そして、「もう平均点の8割を稼いだ」とポジティブに考えたらどうだろうか。裏を返せば、「他の受験生もそんなには大問は解けていない」と、ここもポジティブに考えよう。
勝負の第一ポイント。それはこの「合格者が解けているであろう最初の計算問題を解けなかったら落ちる」ということだ。
次のポイントは各大問にある。問1・問2は、問3の導入になっている場合が多々あるので、これはなんとか正解したいものだ。この問1・問2は、しっかり勉強していれば型にはまった問題なので才能は要らないと思う。この方針で大問2・3・4に取り組めば18点から36点の範囲で点数を上積みできる。
もうこれだけ取れれば数学で不合格になることはない。数学の得意な生徒は問3・問4などにチャレンジしていけば良いが、これを解くにはセンスと才能がいると思う。数学が苦手な生徒はここにはこだわらない方が良いとアドバイスさせていただく。それなら得意の科目で稼ぐべきである。問題を解ける問題と解けそうもない問題に仕分けられる目を養おう。
結論は、「最初の計算問題を確実に解くこと」である。
国語、英語に関しても同じような見方で見ていくと、国語の漢字、文法などの知識事項、英語なら単語のスペル、文法などの基本的なものを落としたら合格はおぼつかないだろう。
矢島塾では、3年の夏までに全範囲を終了し、9月以降は自校作成問題に対応した高度な計算問題を中心に対策をしている。特に土曜日のハイレベル問題演習では、過去問を教材として特別授業を実施している。他の私立向け塾では2年までで全範囲を終えているところもあるが、矢島塾では前述したように、内申の重要性を特に意識していることもあり、1学期、2学期は内申アップに力を注いでいる。
早慶か都立日比谷か
医者になりたいのであれば、早慶附属を選ぶべきではない。早稲田には医学部がないし、慶應の医学部は内部でトップにならなければいけない。これは至難のわざである。医者志望の場合は、大学受験で学費の安い国公立大学の医学部を受験するのが良いだろう。
ここで医学部についてもう少しコメントしよう。全国の国公立医学部は全部で64校あり、旧帝大系とその他に分かれている。違いはズバリ2次試験の難易度だ。旧帝大系は最高難度の問題が出題される。これが解ける生徒はセンターが多少失敗したとしても、2次での逆転ゾーンがたくさんあるので、安心して欲しい。
その他の医学部は2次試験は標準問題となっているのだが、センターの問題が取れる生徒はこの問題も解けるので、逆転ゾーンは存在しない。逆に言うとセンターの得点順に合格していくことになる。センターで9割取れれば、全国64校中26校前後の医学部には、場所を選ばなければ入学できるはずだ。
また、奨学金については日本学生機構の「きぼう21」という制度があり、ほとんどの生徒が利用している。額も3万・5万・8万・10万・12万となっており、各家庭の経済状態を考慮して機構の方で額は決められるというシステムだ。
国公立医学部の学費は半期で26万円。やる気があれば、親がかりでなく生徒一人で医者になることが出来る。
理系希望の生徒は都立日比谷高校からの大学受験の道をお勧めする。早稲田大学や慶應大学といった私立大学は、理数系では国公立大学にまったく及ばないのが現実である。なによりも私立大学の理系は学費が非常に高くて負担であるし、研究環境も国公立大学に適わない。
何になりたいか具体的に決まっていない生徒は、大学の附属校を選ぶべきではない。私立大学では意外とない学部が多いからである。
早慶附属を合格辞退して大学入試で早慶大学に届かなかったらどうしようと心配する生徒は少なくない。しかし、私が知る限りそのような人はいない。その点は、安心してもらいたい。もちろん都立日比谷高校入学後もちゃんと勉強していることが前提である。
進学重点指導校トップ3校の大学合格者の比較
|
都立日比谷高校 |
都立西高校 |
都立国立高校 |
東京大学 |
37人 |
20人 |
14人 |
京都大学 |
7人 |
3人 |
6人 |
国公立医学部 |
16人 |
14人 |
10人 |
東京工業大学 |
10人 |
15人 |
12人 |
一橋大学 |
11人 |
8人 |
14人 |
北海道大学 |
5人 |
4人 |
2人 |
東北大学 |
|
2人 |
5人 |
防衛医科大学 |
6人 |
1人 |
|
東京医科歯科大学 |
3人 |
|
|
東京外語大学 |
8人 |
10人 |
9人 |
お茶の水女子大学 |
5人 |
6人 |
5人 |
筑波大学 |
14人 |
9人 |
6人 |
東京学芸大学 |
7人 |
6人 |
7人 |
早稲田大学 |
170人 |
155人 |
120人 |
慶応義塾大学 |
150人 |
84人 |
63人 |
上智大学 |
52人 |
42人 |
28人 |
東京理科大学 |
79人 |
71人 |
60人 |
合格者数を見るときには、何人多いとか何人少ないとかを見るべきではない。人数は所詮優秀な浪人生を何人ストックで持っているかということに過ぎない。重要なのはその学校の全体のボリュームと、どこを目指しているのかという全体像を感じ取ることである。
都立進学重点校に力を入れている 荻窪 矢島塾